イエローマンの登場でダンスホールの時代が幕をあけた。 ユルイ独特のトースティングは革命的な衝撃で、レゲエの方向性をいっきに違うヴェクトル へと持っていった。ただ、これは常に言える事だけど、革新的なスタイルというのは、実は 一人の天才が作り出すわけではなく、同時代には同じ様な感覚/アイデアをもったアーティストが 多々いて、その切磋琢磨の中でスタイルが磨き抜かれて、あるときにそれが確立される。 それはバロック音楽におけるバッハ、ジャズにおけるマイルスですら同じ事で、歴史と時代の意思に 導かれるかのように、新たな創作の思考/才能は共振を続ける。 イエローマンも当然同じで、意識的自然発生でダンスホールが生まれ、そこには何人もの勇壮な アーティストの死骸がある。彼は勝ち残り、新しい時代を切り開いた歴史となった。 でも、その背後には知られざる有能な人々の熱意/失望が必ずあるものです。