これまでOrac、Hello?Repeatに傑作アルバムを残してきた鬼才ブルーノ・プロンサートによる通算3作目のアルバムは、自身で立ち上げた新レーベルThesongsaysから。日本国内で流通しているこのCDのライナーノーツ執筆をさせていただく機会があり、これはそこでも書いたのですが、ブルーノの創り出すグルーヴは、語弊を恐れずに言えばジャズの本質的なそれに近いと思っています。とはいえ、彼はいかにもジャズっぽいクリシェ的フレーズやサックスなどを援用しているわけではない。ドラムを含めたサウンドそのものの質感、テンションとバランス、そしてその背後に潜む危なっかしくて鋭敏な精神や官能そのものとしてのジャズを彼はエレクトロニック・ミュージックの中で表現してると思うのです。CDのみでのリリースということもあってか、内容の良さとは裏腹に意外なほど話題になっていない気もしますが、素晴らしいアルバムなので是非聴いてみてほしいと思います。