今年の夏、よく愛聴したアルバム。どうやらソフト・ロックの文脈では隠れた名盤という評価が高い1枚らしいんだけれど、僕は所謂ソフト・ロックに関しては門外漢なのでその辺の位置づけはよくわからない。個人的にはサイケデリックで一寸風変わりなフォーク・アルバムといった趣で楽しんでいます。1976年に無名のソングライターであったロバート・レスター・フォルサムが高校時代のバンドの延長で趣味的に自主制作したアルバムだそうで、確かに演奏的な部分でのアラを探せばキリがない。ですが、それを補って余りある垢抜けたソングライティングと小糠雨が漂うような独特のテクスチャーおよび情緒を伴ったサウンドが非常に魅力的でもある。”Biding My Time”のような曲ではこっそりとArp Odysseyなども使われており、これがまた実にいなたい、良いムードを醸し出しています。後にキリンジ堀込泰行氏がソロプロジェクト「馬の骨」で取り上げることになる”My Stove’s on Fire”も秀逸。